一口に「介護」と聞いて、あなたは何を思いつくでしょうか?身体的な介護が必要な方は少なくありませんが、日本の高齢化に伴い、介護現場でニーズが高まりつつあるのが、認知症への対応です。認知症は単なる物忘れとは違い、体験の全てを忘れてしまう脳の病気です。進行すると、自分の家族の貝や名前がわからなくなったり、食事の動作を忘れてしまう人もいます。そのため、介護現場では、1日3回の食事介助でとても苦労をしているという話をよく耳にします。
そこで、ここでは認知症の方への食事介助についてお話しをしましょう。食事介助を行う際に、介護士が気をつけなければならないのは、誤嚥のリスクを避けることと、自分でできることは本人にやってもらうことです。そのためには、まず朝食時には、しっかりと目を覚ましてもらうこと、それからテレビなどを消して食事に集中できる環境を作るようにしましょう。認知症の方は注意がそれやすいため、集中力をそぐ原因が身近にあると、気が散ってしまって食事をしないことがあります。さらに、咀嚼や飲み込みをきちんと行わないと、誤嚥のリスクが高まってしまいます。
それから、食事の動作を忘れてしまって、一人で食事ができな方には、食事介助をする必要がありますが、その時には、食事はなるべく見える場所に置き、献立を説明しましょう。食事に関心を向けると、食欲が出てくる可能性があるからです。そして、食事介助は必ず対象者と目線を合わせられる位置で行いましょう。介護士が立ったままスプーンを口に運ぶような体勢だと、食べ物を口に運ぶペースが掴めなくなり、誤嚥を招きかねません。ですから、目線を合わせ、できれば食事を乗せたスプーンを対象者に持たせ、そのまま口まで運ぶように誘導する方法が理想的です。
このような方法だと、能動的に介助を受けるばかりだった方も、食事動作を思い出し、自力で食べられるようになることがあります。ちょっとした環境調整と工夫で、安全で楽しい食事を摂れるようになることがあるので、介護士はいろいろな方法を試みてください。