介護業務で認知症の方に接する時には、生活環境を整える工夫をしてあげることが大切です。そして、安心して過ごせる環境づくりをするために、要介護者がこれまで親しんできたアイテムを活用してみる工夫をしましょう。
まず、本人が今までどのような生活習慣や生活様式をしてきたのかをヒアリングします。本人との会話が難しい時には、家族の方に聞いても構いません。そして、それを参考にして、愛用していた品々を介護施設でも使えるように、生活空間を整えていきます。自室にこれまで使っていた物があれば、自宅で過ごすような感覚が得られるでしょう。また、違和感を持たずに過ごせる配慮として、介護用品や医療用品は、必要以外のものを本人の視野から外しておくのもポイントです。
それから、現在の日時や季節が分かるようにすることも欠かせません。例えば、壁に日めくりカレンダーを貼ったり、テーブルに季節の花を飾ったり、施設内で季節感を感じられるイベントを行うなどすれば、現在の日時が把握しやすくなり、四季の移ろいも感じられます。ぼーっとして過ごすよりも、適度な刺激がある暮らしのほうが、脳は活性化されるため、こうした工夫は非常に大切な取り組みだといえるでしょう。
また、食事の環境づくりも欠かせません。認知症の方が抱える食事の問題の多くは、摂食リズムの乱れからきています。ですから、水分補給はこまめにしなければなりませんが、間食をしないようにして、規則正しい食事を行うようにしましょう。そして、食前には手洗いやトイレを済ませて、姿勢を正して、ゆっくりと落ち着いて食事に集中できるようにすることを意識しましょう。